◆ 老子小話 VOL 345 (2007.6.23配信)
知止所以不殆。
(老子、第三十二章)
止まるを知れば
殆(あや)うかざる所以(ゆえん)なり
身の程をわきまえていれば
危険な目にあうことはない
久方ぶりの老子である。
身の程を知らぬ人間が
この世にいかに多いか
思い知らされる今日この頃である。
お役人は政治家をだまくらかし、
政治家は国民をだまくらかす・
製肉業者は消費者をだまくらかし、
保険業者は保険金の支払いをだまくらかす。
一体何を信じて生きていけばよいのか
分からなくなっている世の中である。
虫や鳥の生き物の世界では、
全てが身の程を知り、
互いが助け合って生きている。
人間だけが小ざかしい知恵を駆使して
思い上がった振る舞いを続けている。
人間をあやうくしているのは人間である。
国をあやうくしているのは
国家の主権たる国民である。
老子の言葉は、止まることを忘れた
日本に対する警鐘に見える。
記:有無相生