老子小話 VOL 345 (2007.6.23配信)

知止所以不殆。

(老子、第三十二章)

 

止まるを知れば

殆(あや)うかざる所以(ゆえん)なり

 

身の程をわきまえていれば

危険な目にあうことはない

 

久方ぶりの老子である。

身の程を知らぬ人間が

この世にいかに多いか

思い知らされる今日この頃である。

お役人は政治家をだまくらかし、

政治家は国民をだまくらかす・

製肉業者は消費者をだまくらかし、

保険業者は保険金の支払いをだまくらかす。

一体何を信じて生きていけばよいのか

分からなくなっている世の中である。

虫や鳥の生き物の世界では、

全てが身の程を知り、

互いが助け合って生きている。

人間だけが小ざかしい知恵を駆使して

思い上がった振る舞いを続けている。

人間をあやうくしているのは人間である。

国をあやうくしているのは

国家の主権たる国民である。

老子の言葉は、止まることを忘れた

日本に対する警鐘に見える。

 

記:有無相生

 

 

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