◆老子小話 VOL 343 (2007.6.09配信)
以道観之、物無貴賎。
以物観之、自貴而相賎。
(荘子、秋水篇)
道を以って之を観れば、
物に貴賎無し。
物を以って之を観れば、
自ら貴しとして相賤しむ。
「生きる」という人間の本質的なあり方から
観れば、人に貴賎の区別などありえない。
しかし、社会という、人の集まりの中で
個々の人を区別する立場から観ると、
自分が大事で、他人はどうでもよくなる。
そもそも年金は、誰もが安心して老後を「生きる」ために、
国家が提供した積立金システムだった。
腐った組織、社保庁は、長官から末端まで
無責任はなはだしく、その積立記録を失っている。
「生きる」を保証する「年金制度」の精神を無視している。
ここで彼らに聞きたい。
自分の年金記録は、真っ先に確かめたのだろうか。
本来なら、「道を以って」観なければいけないのに、
「物を以って」を観てしまっている。
しかも、記録紛失を代々放置し蓋をしてきたという。
まさに腐った組織。
自分の年金さえ、あるいは、自分の退職金さえ
確保されればよいという考えが、全てを物語る。
物でしか判断しなくなった日本が虚しくそして悲しい。
政府与党に、そういう国を任せた国民にも責任がある。
憲法改正以前の問題である。
記:有無相生