◆老子小話 VOL 335 (2007.4.14配信)
夏虫不可以語於冰者。
篤於時也。
<荘子、秋水篇>
夏虫(かちゅう)は
以って氷を語るべからざる者は、
時に篤ければなり。
夏しか生きることのできない虫に、
冬の氷の話をしてもしかたがない。
夏が季節の全てと信じているからである。
北海若(渤海の神)が河伯(黄河の神)に
語る言葉の一つ。
スケールの小さい人間には、
スケールの大きい時空の流れを理解できない。
何故なら、彼の意識は、狭い、時間・空間・知識に
閉じ込められているからである。
井の中の蛙は空間に縛られ、
夏の虫は時間に縛られている。
人の一生(90年とする)なんて、
45億年の地球の歴史から見れば、
一瞬(2億分の1)に過ぎない。
これは、人の一生(28億秒)の中の
14秒のドラマに過ぎない。
TVのCMくらいの長さである。
でも、この14秒の繰り返しが、地球上に
人類の文明を築いた。
私が今あるのは、この営みのお陰である。
この14秒を地球規模で考えると、
自分の14秒も他人の14秒も、
決して無駄にできない。
記:有無相生