◆老子小話 VOL 334 (2007.4.07配信)

機息時、

便有月到風来、

不必苦海人世。

<菜根譚>

 

機息(や)む時、

便(すなわ)ち、月到り風来るあり、

必ずしも、苦海の人世ならず。

 

「機」は、たくらむ心。

人為を去り、無為の境地に至るとき、

普段何気に触れていた

月や風が生き生きと見えてくる。

月は夜空にこうこうと輝き、

風は爽やかな「気」を運んでくる。

今まで見えていなかったものが見えてくると、

人生が苦しみばかりでないことに気が付く。

人の世に生きるとき、「機」は欠かせない。

人生の目標に向かって、企みが出てくる。

こうすれば気に入ってもらえると考えて、

動くことになる。

しかし、機にあおられたままでいると、

生きることに息苦しさを感じてくる。

そういう時は、一息ついて、無心の旅に出る。

自然の「気」に触れることで、

本当の自分が見えてくる。

「気」の流れの中で生かされている自分が。

もっと気楽に生きれば、

己の人生、捨てたもんじゃない

と、転機が得られればしめたもの。

 

記:有無相生

 

 

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