◆老子小話 VOL 331 (2007.3.17配信)

神動而天隋。

従容無為而萬物炊累焉。

<荘子、在宥篇>

 

神は動いて天に随い、

従容無為にして、

万物は、炊累(すいるい)す。

 

精神は自然の道理に従って動き、

ゆったりとあるがままに

無為に振る舞うことができるので、

万物は、風の漂う塵のように

自然の道理に従った

ゆったりとした生活を楽しむことができる。

 

荘子は、逍遙遊篇から始まる。

そこでは、北海の海の魚が大鵬となって

南海を目指して天空に飛び立つシーンが

展開される。

そのスケールの大きさは、

地上の小鳥には想像も付かない。

自然の道理と、人間の知恵の関係は

これと同じことだろう。

大自然における人間の存在は

風に漂う塵のようである。

こころを、風に逆らわず大鵬のように

飛び立たせることができるなら、

余計なストレスもなく、ゆとりのある生活が

送れるという。

風に漂う塵が、「炊累」であり、

塵が乗る風が、「千の風」となる。

人々の共感を得ている「千の風になって」は、

「神動天隋」の歌のようだ。

 

記:有無相生

 

 

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