◆老子小話 VOL 330 (2007.3.10配信)

形労而不休則弊。

精用而不已則労。

労則竭。

<荘子、刻意篇>

 

形労して休(いこ)わざれば則ち弊(やぶ)れ、

精用いられて已まざれば則ち労(つか)る。

労るれば則ち竭(つ)く。

 

身体を酷使して休むことをしなければ疲弊し、

精神を消耗し続ければ、滅入ってしまう。

滅入ってしまった挙句、命は尽きる。

 

身体と心は、人間の命を保つ上で、

どちらも欠かせない。

いずれが疲弊しても、命は尽きる。

生き続けるには、疲れた身体と心を

定期的に休ませなければならない。

眠るというのは、脳の疲れを癒すための

生命の仕掛けである。

「鈍感力」という言葉が話題になっているが、

荘子の言葉とも関連がある。

何事にも、心と身体が敏感に反応していると、

疲れが蓄積してくる。

育児ノイローゼとか、仕事や人間関係の

ストレスが引き起こす身体の変調などなど。

命の自己防衛策として、意識して鈍感になったら、

少しは救われるということではないか。

じゃあ、鈍感になるには?

相手や自分に、あまり大きな期待をしないことです。

できることから少しずつやってみる。

焦らず気長に、結果を待つ。

だめなら、ままにならぬが人生とかみ締める。

 

記:有無相生

 

 

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