◆老子小話 VOL 329 (2007.3.03配信)

生有所乎萌。

死有所乎帰。

<荘子、田子方篇>

 

生じては萌(きざ)すところ有り。

死しては帰するところ有り。

 

生まれてくるものは、自然の働きの中で芽生え、

死んでいくものは、自然の働きの中で還っていく。

(自然の中で、この生死の変転は限りなく続く。)

 

今日はひな祭りです。

こどもの健康を祈願するお祭りですが、

親として、芽生えた命がいつまでも続いて欲しい

と願うのは当然でしょう。

しかし、芽生え、花が咲き、散っていくように、

自然の働きは、生を与え、惜しみなくそれを奪う

連環から成り立っています。

こどもに満足いく死を迎えてもらうために

親は何をしなければいけないのか考えるのが、

荘子の視点です。

親の死を視て、子供は自分の死を考える。

としたら、親がどういう死を遂げるかを

手本を見せなくてはならない。

ぶざまな死を見せるのか、

たとえ残された生が僅かでも、

りっぱな死を見せるのか。

親と子の緊張は最後まで続く。

自分の言葉で生死を考えようと説きました

尊敬する池田晶子さんが急逝されました。

この荘子の言葉を池田さんに捧げます。

 

記:有無相生

 

 

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