◆老子小話 VOL 327 (2007.2.17配信)
知人者智、自知者明。
勝人者有力、自勝者強。
<老子、三十三章>
人を知る者は智、
自ら知る者は明。
人に勝つ者は力有り、
自ら勝つ者は強し。
外に向いた目を自らに向け、
自分の事が分かってくると、
知識が単なる知恵から明知に深まる。
外に向けた力を自らに向け、
己の心を抑制できると、
本当に強い人間になる。
自然科学が脳の研究に向けられているのは、
まさしく、考える主体の中身を考えるということで、
科学の進歩といえる。
他人のことはよく見えるが、
意外と自分のことは見えない。
自然界は、自分の外に広がると
今まで考えられてきたが、
自分のうちにも広がり、
脳の研究は内なる神秘を解明することになる。
でも、自然科学の明知を何に役立てるのか?
優秀な頭脳を育て強い国家を作るためではない。
己の弱さ、エゴイズムの正体を知り、
どのようにそれと付き合うべきか知るためと思える。
記:有無相生