◆老子小話 VOL 320 (2006.12.30配信)
京まではまだ半空や雪の雲
<芭蕉、笈の小文>
小生に蕪村の面白さを教えてくれた
森本哲郎氏の著書「旅は人生」の
エピローグにある芭蕉の句である。
半空(なかぞら)は、中空であり、
時空の只中に浮遊する状態をいう。
京を目指す旅人が、雪雲のもとで、
志半ばで前途を思いやる情景が見える。
完結しないまま終わるのが「旅」であり、
人生であると読む。
旅の中で誰と出会い、何に気づくのか、
その楽しみを求めて、旅は果てしなく続く。
命在る限り。
人生の宝は、どれだけ旅をすることができたかに
かかっている。
2006年を表す漢字は「命」だそうだが、
「命」の証が「旅」なのではないだろうか。
そして、「旅」は「命」の糧となる。
記:有無相生