◆老子小話 VOL 316 (2006.12.02配信)

露の世の 露の中にて けんくわ哉

<小林一茶>

 

露の世は、生まれてはすぐ消える

はかない露のような世の中をいう。

一茶は、この露を時間的だけでなく、

空間的にも狭いことを意識した。

そんな狭い場所でどうしてけんかを

するのだろうか?と、愚かさを

身に沁みて感じている。

自分自身も、何十年にも渡り、

親族と遺産相続の争いをした。

今また、いじめ自殺問題が話題となっている。

自分の命、ひとの命のはかなさに気づけば、

その短な一生の中で、そしてこの狭い世界の中で、

仲良く暮らせないわけがない。

その愚かさを、荘子は「蝸牛角上の争い」と呼んだ。

かたつむりの頭の上で、左右の角がどちらが強いか

争っている様に例えた。

学校という狭い世界の中で、好きだ嫌いだといって

相手を否定するのは、かたつむりの角そのものである。

もっと広くて大きな世界の中で、互いを認め、

何をすればよいかを考えさせるのが

教育の務めといえるのではないか。

 

記:有無相生

 

 

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