◆老子小話 VOL 315 (2006.11.25配信)
無遷令。
無勧成。
<荘子、人間世篇>
令(いいつ)けを遷(あらた)むること無かれ。
成すを勧(つと)むること無かれ。
命令を勝手に変更してはいけない。
無理に成功しようとあせるな。
言葉ほど、気まぐれに動くものはない。
受け取った人間の心理状態によって、
話し手の意思とは別の解釈がされるから
である。
従って、命令に勝手な解釈を付け加えて
行動すると過ちを犯す場合がある。
命令をした人の意思に反するからである。
成功を急ぐ余りに、嘘やお世辞で取り繕えば
後で命取りになったりする。
言葉の恐ろしさを十分認識しなさいという
荘子の教えである。
しゃべりすぎもまずいし、言葉足らずもまずい。
心を無にして冷静に相手の言葉を聞き、
相手のまことを受け止めて、
自分の言葉で、自分のまことを伝える。
一度ではまことは伝わらず、時間をかけて
じっくりと意思疎通を図っていく。
今の世の中、携帯メールの返事が来ないと
すぐに無視されたと思い込んだりする人もいる。
でも、人の人の関係は、時間を積み重ねて育む
のが、長続きの秘訣と言えるのではないか。
記:有無相生