◆老子小話 VOL 314 (2006.11.18配信)
宇宙の自然は、「全体」の物質を用いて
あたかも蝋でものを作るように、
ある時は馬を形作り、つぎにこれをこわし、
その素材を用いて樹木をこしらえ、
つぎには人間を、つぎにはまたなにか
ほかのものをこしらえる。
<マルクス・アウレリウス、自省録>
上記は、岩波文庫、神谷訳からの引用です。
老子第5章の「百姓を以って芻狗と為す」
と同じことです。芻狗はわらで作った犬です。
宇宙の自然が織り成すドラマに登場するのは、
馬だったり、樹木であったり、人間だったり、
形は異なるが、おおもとの物質は、「宇宙」を
支える「全体」の物質に変わりはない。
それを蝋とかわらとか呼んでいる。
マルクスは、この「人間」として存在できる
僅かな時間の中で、「いま(現在)」を大切に
して生きよという。
一方、老子はこの宇宙論を政治論に展開する。
歴史の舞台で、為政者は次々に変わっていく。
ある為政者にお気に入りの発言しても
次の為政者の怒りを買うこともある。
従って、どちらにも偏らないバランス感覚が
政治生命を保つには大切という。
私人にせよ公人にせよ、長生きするには、
「変化を恐れず、バランスを保って波に乗る」
ということでしょうか?
記:有無相生