◆老子小話 VOL 312 (2006.11.03配信)

夫随其成心而師之。

誰獨且無師乎。

<荘子、斉物論篇>

 

夫(そ)れ其の成(ある)がままの心に

随って之を師となさば、

誰か独り且(は)た師無からんや。

 

すべての人間は、自分の中に、

自然から授かった心を持っている。

其の心を師として随って生きていけば、

誰一人として師のない者はいない。

 

自分の内に在る、何物にも囚われない

自由なる心を師として生きていけば

何もおそれることはない。

自然から学ぶことは大きい。

自然はある法則に従いながら、

同じ事を繰り返してはいない。

その証拠に、生き物なら

誕生から死に向かうサイクルを

繰り返すが、生きる主役はどれとして

同じものはない。

そういう真理を感じ取れる心こそ、誰もが

自然から授かった贈り物(gift)といえる。

希望に燃える心、

他人の痛みを自分の痛みとして感じる心

人のために何かをしようとする心などなど。

才能の獲得に躍起になるより、

本来備わっている心の本分を引き出す

教育を目指した方がよい。

履修不足問題を見て、そう感じた。

 

記:有無相生

 

 

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