◆老子小話 VOL 308 (2006.10.07配信)
染めあへぬ
尾のゆかしさよ
赤とんぼ
<蕪村>
赤とんぼの見られる季節になった。
赤とんぼの尾をじっと見つめる蕪村。
その尾っぽは一様な赤なのか?
何匹か飛んでいるとんぼの尾は
皆同じ色をしているのか?
けっして一様の赤で染まっておらず、
とんぼごとにその色は微妙に異なっている。
そこに秋を告げる赤とんぼの
奥ゆかしさがある。
「染めあえない」と表現したところに面白さを
感じませんか?
自然のものは、どれとして同じものはない。
赤とんぼと名づけたって、赤一色に
なっているわけではない。
ひとつひとつの個性にゆかしさがある。
坐馳は先週のテーマでしたが、
赤とんぼを見てそう感じた蕪村は、
自然のゆかしさを止観しているようです。
自然は宝物で一杯です。
記:有無相生