◆老子小話 VOL 307 (2006.9.30配信)
吉祥止止。
夫且不止。
是之謂坐馳。
<荘子、人間世篇>
吉祥は、止(むな)しきに止(あつ)まるなり。
それかつ止(むな)しうせず、
是をこれ坐馳(ざち)という。
吉祥とは、幸福(happiness)で、
止めるというのは、心と身体を共に
留める(stay)ことです。
幸福は、心を虚しくするところに
留まるという。
まるで、真っ暗な部屋に一条の光が
差し込むように。
現代人は、狭い部屋で日夜
インターネットで株取引をする。
身体は留まるが、心は穏やかならず
常に利益を求めて走り続ける。
坐馳の坐は座ること、馳は走ること。
つまり、坐馳は座りながら走っている状態です。
坐馳の反対が止観(しかん)で、心を鎮めて観る。
すると、見えていなかったものが観える。
忙しい毎日を送っている人は、
坐馳で一生を送らないよう、
止観のひとときを大切にしましょう。
記:有無相生