◆老子小話 VOL 304 (2006.9.09配信)

不忘其所始。

不求其終所。

受而喜之、忘而復之。

<荘子、大宗師篇>

 

其の始まる所を忘れず、

其の終わる所を求めず。

受けて之を喜び、

忘れて之を復(か)えす。

 

生を与えられたということを忘れず、

といって、いつ死を迎えるかを

あれこれ考え思い悩まない。

与えられた生を楽しみ、

死を迎えたら、今までのことは忘れて

大自然にお返しする。

 

昔こんなことを読んだと記憶する。

ひと各々の生きる時間は、あらかじめ

ろうそくの長さで決められていて、

そのひとの誕生と同時に火はともされる。

ある人は短く、ある人は長い。

自分のろうそくの長さを人生途中で

垣間見ると生きた心地がしない。

燃えることより消えることを

気にするからである。

荘子の言葉は、

火がともされたことを喜び、

いいではないかという。

ろうそくは、自らの身を燃やし

すり減らし、生の活力を得る。

最後は、燃え尽きて消滅する。

人生は、うまく、ろうそくに譬えられる。

 

記:有無相生

 

 

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