◆老子小話 VOL 303 (2006.9.02配信)
方舟而済於河。
有虚船来触舟。
雖有惼心之人不怒。
<荘子、山木篇>
舟を方(なら)べて河を済(わた)るに、
虚船の来たって舟に触るる有れば、
惼心の人有りといえども、怒らず。
舟で河を渡ろうとするとき、向こうから
誰も乗っていない舟がやってきて
自分の舟に触れたとき、
どんな短気な者も腹を立てない。
しかし、その舟に誰か乗っていると
その者に向かって、どけろとか、
どこをみているんだとか、
どなり散らし腹を立てる。
相手の舟の上に人がいる(実)か
いないか(虚)で、心の乱れ方が違う。
人間社会で生きるのもこれと似ている。
自分と相手の意見がぶつかりあっても、
心を虚にして取り組めば、
冷静にものごとは解決できると思う。
荘子さんはうまいたとえを言ったものである。
記:有無相生