◆老子小話 VOL 302 (2006.8.26配信)

其好之也一、其弗好之也一、

其一也一、其不一也一。

<荘子、大宗師篇>

 

其の之を好むも一、

其の之を好まざるも一、

其の一もまた一、

其の一ならざるもまた一。

 

好きという感情と嫌いという感情は

原因は一つであるが、

現象をみると二つ(一つでない)となる。

原因は同じだから同じかというとそうでなく、

現象は二つだから二つかというとそうでない。

好きだった人を嫌いになり、

嫌いだった人を好きになる。

相手は変わらなくても、

見る人の見方が変ると

相手が変わるように見える。

冥王星が惑星から外れたって、

冥王星は冥王星。

宇宙のシステムが変わるわけでない。

敵か味方かにすぐ分けたがる国の人は、

見方が変わったことで、一喜一憂する。

9.11は己に原因があることを知らずに、

敵探しを続けていては、戦争はいつまでも続く。

人間の歴史は戦争の歴史ともいえる。

人間とは戦争をしたがる動物と考えるなら、

どのようにすれば戦争がなくなるか、

人間の本性や習性に立ち戻って、

科学的に研究する立場があってもよいと思う。

荘子さんの言葉は、人類の進むべき道を

示唆してくれる。

 

記:有無相生

 

 

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