◆老子小話 VOL 301 (2006.8.19配信)
腹が減ったら、何でもうまい。
<清水公照師>
松原泰道先生の「般若心経入門」
からの抜粋で、
東大寺長老の師が、ドイツ人青年に、
「空、無とはどういう意味か?」
と聞かれたときの答えです。
満腹のときは、どんなものを食べても
本当のおいしさに気づかない。
身に抱えるもの、心に抱えるものが
多すぎると、本当の姿が見えない。
無一文になって初めて、人の心の
ありがたさがわかる。
こだわりを捨てて、自分の心が
見えてくる。
老子も、「この道を保つ者は、
盈つることを欲せず」(15章)という。
盈つる(満つる)ことに満足していては、
次の進歩がない。
捨てることから進歩が始まる。
記:有無相生