◆老子小話 VOL 297 (2006.7.22配信)
学問は 尻から抜ける ほたる哉
<蕪村>
うんちくのある句です。
「ほたるの光」を借りて、
一生懸命勉強することは歌に
ありましたが、貯えた知識を放出する
のが「ほたる」とは初耳です。
いくら詰め込んでも、すぐ忘れてしまうのが
学問なんだと蕪村さんも感じておられる。
闇のような人生の中を飛び交う人間を
「ほたる」に例えることができるでしょう。
知識なんてものは、頭に詰め込んでも
結局尻から抜けてしまうもの。
でもいいじゃないか、道に迷ったとき、
道しるべとなる「仄かな光」を放ってくれれば。
学問の知識に大きな期待はできないが、
思いがけない時に役立てば、
尻から抜けても構わない。
あっちの光であなたを知り、
こっちの光で私を知る。
「ほたる」を眺めながら、蕪村さんは
「ほたる」になっていました。
記:有無相生