◆老子小話 VOL 296 (2006.7.15配信)
反者道之動。
弱者道之用。
<老子、第40章>
反は道の動なり。
弱は道の用なり。
反は、原点に帰るという意味です。
道の原点は無なので、結局無に
戻っていくのが、道の動きとなります。
弱は柔弱のことで、柔弱は生の根源です。
生きている細胞は弾力性があり、
潤いがあります。
柔軟な生き方により、弱き者に目配りするのが、
道の働きです。
前進するものがよい、強きものがよいとする
考えが横行する今の世です。
権力とか権威とかいうものは、際限なく
存在感を高めようとする。
己の存在を主張するため、力による前進を
強調し、強いものに同調する。
北朝鮮のミサイル発射、米国のイラク攻撃、
イスラエルのレバノン攻撃、皆同じ。
軍事力による威嚇をし、強きものに屈従しろ
と迫る。反発すると、根絶やしになるまで叩く。
こんな世界でよいのかと思いつつ、強いものに
巻かれる日本。
いまここで、全ての偏見を取り払って、
地球規模の平和の安定を原点から思考しても
よいのではないか。
国を変えるのは、結局国民の意識である。
一人一人は弱いかもしれないが、大勢が集まると
国も無視できなくなる。
記:有無相生