◆老子小話 VOL 288 (2006.5.20配信)
我道に有構無構といひて、
かまへはありてかまへはなきと
いふ所也。
<宮本武蔵、五輪書>
風之巻の一説。
太刀の構えが役に立つのは
敵がいないときだけであるという。
構えるという心は、先手を待つ心
であり、勝負の道では、何事も
先手先手をこころがけないと
相手に勝てない。
先手により、敵の構えを揺るがせ、
しかも、自分の構えはその先に
向かって動かしていく。
つまり、先手必勝の勝負の世界で
生き延びるには、考えを固定せず、
どんな場面に遭遇しても、構えを変えていける
空の心を持たねばならない。
勝負の世界に身を置かずとも、
人生とは自分との勝負と考えるなら、
先手で自分を変えていくことも
また人生を面白くする一法かも
しれない。
記:有無相生