◆老子小話 VOL 285 (2006.4.29配信)  

まだきともちりしとも見ゆれ山桜

<与謝蕪村>

 

咲き始めのように見えるし

散り際のように見える

山桜であることよ

 

なかなかよい句だと思いませんか?

知らないうちに咲き、知らないうちに散る山桜。

そんな生き様が人の生き様に投影される。

咲き始めも美しいが、散る様も趣がある。

山に咲く山桜は、一斉に咲くことがない。

あちらの山桜が咲き始めれば、

こちらの山桜は散り始める。

山桜それぞれが異なる色を放ちながら、

山を塗り分けている。

自然の風景が何かを語っている。

 

記:有無相生

 

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