◆老子小話 VOL 273 (2006.2.04配信)
人之生也、與憂倶生。
壽者惛惛、久憂不死。
何之苦也。其為形也亦遠矣。
<荘子、至楽篇>
人の生くるや、憂いと倶(とも)に生く。
寿者は惛惛(こんこん)として、
久しく憂いて死せず。
何ぞこれ苦しめるや。
その形のためにするや、また遠し。
人の一生は、悲しみと一緒に生きること。
長寿の人は、頭はぼけて、長い間
悲しんで、しかも死ねない。
何とも苦しいことである。
肉体を保たせるために長生きしても、
見当はずれである。
この言葉、別に長生きを否定してはいない。
肉体的な老いにこだわるなという。
「形」とは、心を包む肉体のことである。
人間生きていたって悩みばかり。
まあ、悩む自分がいることが生きている
ことの証とも言えるが、悩み(煩悩)は
執着から来るとお釈迦様も言っている。
外見的な老いを気にしたって始まらない。
そんな執着を捨て、内面を磨く努力をすれば、
日々新たな自分を見出すはずである。
この努力は一生かけても尽きない。
Positive thinkingでとらえれば、荘子の
言葉はこのように変わる。
記:有無相生