◆老子小話 VOL 268 (2005.12.31配信)  

何の木の花とは知らず匂ひ哉

<芭蕉、笈の小文>

 

なんのきの はなとはしらず

においかな

 

今年最後のお届けとなりました。

皆様のこの一年はいかがでしたか?

事件事故の多い一年でしたが、

感動した一瞬もあったはずです。

今回は、芭蕉の紀行文からの一句です。

西行法師の歌

「何事のおはしますをば知らねども

かたじけなさの涙こぼるる」

をモチーフにしているとのことです。

生かされていることへの感謝です。

神様が居るとか居ないとかは知らないけれど、

今ここに生かされていることに、西行さんは

感動を覚えています。

芭蕉も、旅をしていて、ある木のそばを

通りかかったとき、どこからとなく薫る

花の匂いに感動し句を詠みました。

木の名前なんかどうだってよい、

とにかく自然の中で感動できる自分が

今いることをありがたく感じている。

感動の対象は何だってよいのです。

感動できる自分、感動を共有できる仲間

がいるだけでありがたき事なんですから。

よいお年を。

 

記:有無相生

 

戻る