◆老子小話 VOL 255 (2005.10.01配信)
野ざらしを 心に風の しむ身かな
<芭蕉>
『野ざらし紀行』の旅の初めの一句。
野ざらしとは、旅の果てに行き倒れに
なった骸骨である。
死を覚悟して旅に出たものの、
荒野に吹きすさぶ寒風は、
きっと心身まで染み入るだろう。
この旅に耐えられるだろうかという
不安が感じられる。
人生そのものが旅であり、
旅の体験がその人の宝である。
たとえ野ざらしとなろうが、生きて味わえた
旅の思い出は枯野を駆け巡る。
「旅に病んで 夢は枯野を 駆け巡る」
記:有無相生