◆老子小話 VOL
1281(2025.06.14)
図未就之功、不如保已成之業。
悔既往之失、不如防将来之非。
(菜根譚)
未だ就(な)らざるの功を図るは、已に成るの業を保つに如かず。
既往の失を悔ゆるは、将来の非を防ぐに如かず。
今回の言葉は、菜根譚よりいただきます。
ビジネスマンにとっては大事な言葉です。
「まだ成就していない事業の完成をあせるより、
すでに完成している事業を保つほうがましである。
また過去の失敗を後悔するよりも、
将来の失敗を予防するほうがましである。」
既存事業の存続を図りつつ、将来の飯のたねとなる新規事業を生む出すのがビジネスマンの基本です。
既存事業は競合も増えてきて将来は先細りになる可能性もある。
既存事業で培った基盤技術を使って、新規事業を立ち上げるのはどこの企業でもやってることです。
ただし重心をどちらに置くべきかを考えると、やはり既存事業になります。
既存事業の効率化を図り、利益率を向上する努力が必要だと菜根譚もいっている。
最近の飲食業を見ていても、とにかく従業員が減っていて、タブレットを使って顧客が注文し、ロボットが運んでくる店屋が増えました。
回転寿司はその先駆者のようなものです。
二行目の言葉は、過去をくよくよしても始まらず、未来を見よということです。
ただし同じ失敗を繰り返さないように、過去の失敗原因を洗い出すことは必要です。
時間が経過することで状況は変化していくので、この原因分析がそのまま役に立つともいえません。
状況変化に柔軟に対応することで、未来の失敗は最小化できます。
ということで、菜根譚の言葉が今のビジネスにも生きていることがわかります。
有無相生