老子小話 VOL 1279(2025.05.31)

軽天下、則神無累矣。

細萬物、則心不惑矣。

齊死生、則志不懾矣。

同変化、則明不眩矣。

(淮南子、第七精神訓)

 

天下を軽んずれば、則ち神は累(わずら)い無し。

萬物を細(こまか)しとすれば、則ち心は惑わず。

死生を斉しくすれば、則ち志は懾(おそ)れず。

変化を同じくすれば、則ち明は眩(くら)まず。

 

今回の言葉は、淮南子よりいただきます。

人生楽しく生きる知恵と申しましょうか、勇気を与えてくれる言葉です。

「天下を軽いとみなせば、精神はわずらうことはない。

万物を小さいとみなせば、心は惑うことはない。

死生をひとしくみなせば、意志はくじけることはない。

変化を同じ価値とみなせば、明智はくらむことはない。」

今回も、詩のように道の本質を語ります。

ものごとを余り深刻に考えすぎると、苦労や悩みが増してくる。

苦労や悩みが増してくると、意志や判断に迷いが生じてくる。

だから、この世の出来事を軽くささいなことと考えれば、少しは気が楽になる。

他にいろんな言い方がありますが、ケセラセラとかセラヴィがあたるでしょうか。

死生になるとそんなわけにはいかなくなりますが、死んだ気でやれば失敗なんてこわくなります。

所詮生まれてきたのも運ですから、死ぬときも運です。

人生長い人もいれば短い人もいる。長い短いをうんぬんしても始まらない。

長さのわからない中でどれだけの思い出を残してきたかで、人生楽しく過ごせたかが決まります。

トランプ政権になって全世界に変化をもたらしました。

しかしこれまでの歴史において変化は何度となく繰り返されています。

変化をチャンスと考えれば、判断が鈍ることはない。

心を揺れ動かす原因に対し過剰に反応しないことが大事だと、淮南子は語ります。

令和の米騒動で世の中揺れ動きますが、米以外の主食に切り替える手だって残されています。

深刻になりすぎないことです。

 

有無相生

 

 

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