老子小話 VOL 1271(2025.04.05)

子曰、可與言而不與之言、失人。

不可與言而與之言、失言。

(論語、衛霊公第十五)

 

子曰く、与(とも)に言うべくしてこれと言わざれば、人を失う。

与に言うべからずしてこれと言えば、言(ことば)を失う。

 

今回の言葉は、論語よりいただきます。

トランプの相互関税がとうとう発動されました。

アメリカだけが海外からの安い製品を買い、輸出する自国製品は高い関税のために売れないというトランプ支持者のいらだちに応える政策です。

関税を引き上げて安い輸入製品を高くして、アメリカ国内の産業を活性化する狙いがあります。

日本の自動車産業はアメリカ依存が大きく、収益減少という影響は日本の景気後退に跳ね返ってくるものと予測されています。

石破首相は理に合わないとぼやいていますが、トランプは全世界にカンフル剤をうって波及効果を観察しようと考えている。

今回の言葉は、人と会談するにはタイミングがあると教えます。

「話し合うべきときに話し合わないと相手を取り逃がす。

話し合うべきでないのに話し合うと、言葉を無駄にする。」

すでに賽は投げられているので、じたばたしても始まらない。

トランプの政策がアメリカの景気後退を招けば、トランプは方針を転換するはずです。

言ってみれば、防衛から経済までアメリカ依存が大きすぎたので、それを反省するきっかけをトランプは与えてくれました。

EUもまた自分たちの現状を見直し、アメリカ依存を下げる方向に進みつつあります。

前回のメルマガで大国が長続きした例はないと言いましたが、今まさに大国アメリカの悲鳴を聞いているようです。

もはやなりふり構わず、全方位で自国優位を主張する姿が痛々しい。

日本はタイタニック・アメリカとともに沈んでいくか、独自の新たな道を進んでいくか瀬戸際に立っているといってもよいと思います。

国民の一人として、今回の苦難をばねにして日本が自立していく姿を夢見ています。

 

有無相生

 

 

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