◆老子小話 VOL
1258(2025.01.04)
曲則全、枉則直、窪則盈、敝則新。
(老子、第二十二章)
曲なれば即ち全(まった)し、
枉(ま)がれば即ち直し、
窪(くぼ)めば即ち盈(み)つ。
敝(やぶ)るれば即ち新たなり。
新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
へび年にちなんで、年頭の言葉は老子よりいただきました。
「曲がりくねった樹ならば生をまっとうできる。
尺取虫のように身を曲げていれば真っ直ぐに伸びることができる。
くぼ地のようにへこんでおれば、一杯溜まってくる。
古着のようにボロボロでおれば、新しくなれる。」
尺取虫だけでなく、へびだって身をくねらせながら前進できる。
一見マイナスに見えることは、プラスのもとになることを教えています。
「荘子」に出てくる樗木は、こぶだらけで曲がりくねった木です。
そのため、材木として使えないので切り倒されなかったので天寿を全うできた。
足がなくても曲がった身体を伸ばすことで前進できる。
表面にくぼみを沢山作って気体や液体を溜め込み、化学反応を促進するのは常套手段の技術です。
皮膚細胞が入れ替わるとき、古い細胞はボロボロになって垢として剥がれ落ちます。
このように自然現象がそのまま老子の言葉に取り込まれています。
一見マイナスに見えるのは、人間の価値観でモノを見ているのであって、自然界ではプラスもマイナスもない与えられた性質であり、それを十分活用して生きているに過ぎません。
それが生をまっとうする姿といえるのでしょう。
有無相生