◆老子小話 VOL
1248(2024.10.26配信)
若い時は、興味が散漫なため忘れっぽく、
年をとると、興味の欠乏のため忘れっぽい。
(ゲーテ)
今回は、ゲーテの言葉をお届けします。
何か身につまされるような言葉です。
確かに若い時は、いろんなことに興味があり、頭に入る情報量が多すぎて記憶力が追いつかない状態です。
年をとってくると、興味それ自体が薄れてきて、頭を鍛えないため、記憶力自体が低下する。
同じ忘れっぽいでも意味が違ってくる。
片や脳の処理能力が追いつかない状態で、もう一方は脳の処理能力が衰える状態です。
脳でも筋肉でも、常に鍛えていないと機能は衰えます。
従って、年をとればとるほど自分で課題を見つけて、身体なり頭なりを日頃から使いこなすことが必要になります。
課題を自分で見つけるのが難しければ、課題を常に与えられる環境に身を置くことでもよいかもしれません。
高齢になっても仕事を続けるのも一つの方法です。
いずれにせよ、いろいろなことに興味を持つことは必要でしょう。
興味は、身の回りで感じている疑問から起こります。
何で物価が上がるんだろうとか、何で空は青く見えるんだろうとかいう疑問です。
このような疑問は、子供のときはしょっちゅう湧いてきました。
それを解くために、身体や頭を働かせていたのが若いときです。
年をとると、身の回りのことを気にしなくなり、確かにストレスは減りますが、身体や脳は老化していきます。
忘れっぽくなるのはしかたがないとして、関心や興味は持ち続けるべきです。
タオイストも自然の美しさに関しては、常に関心をもっています。
その中に老荘の教えが散りばめられているからです。
ゲーテも、「美は隠れた自然の法の現れである」と言います。
星や鳥や花や虫に、美しさを見いだせる時間は限りなくあります。
有無相生