◆老子小話 VOL
1242(2024.09.14配信)
If you want to tell people the truth,
make them laugh, otherwise they’ll kill you.
(Oscar Wilde)
人々に真実を伝えたいなら、笑わせろ、さもなければ殺される。
今回の言葉はアイルランド出身の作家オスカー・ワイルドよりお届けします。
なかなか辛らつな言葉です。
真実の言葉は耳に痛く響きます。
真実を伝えようとすれば、それを聞いて燃え上がる怒りを抑える必要がある。
そのために、笑わせるのが一番ということになる。
江戸時代の落語では、社会風刺のはなしも多かった。
社会風刺が辛らつだと幕府の目も厳しくなる。
笑いやユーモアで怒りの感情を和らげる工夫が求められるわけです。
ワイルドが生きた英国でも、状況は同じだったようです。
現代においても、ロシアや中国では、体制批判や社会風刺が行き過ぎると、投獄されたり暗殺される場合があります。
こちらの場合は笑いがいくらあっても、政府の怒りは治まりません。
ロシアや中国では、真実を伝えたいなら、国外に亡命し外から発信しなければなりません。
そこまで深刻な場合でなくても、他人に真実を伝える場合は、笑いを伴う話し方は必要と思われます。
怒った相手を落ち着かせるには、論理は無駄で、笑いで押すしかありません。
老子八十一章に、「信言は美ならず、美言は信ならず」とあるように、真実の言葉は聞きづらい。
わかっていても怒りは湧いてくる。
笑いは自分を客観化するチャンスを与えてくれる。
そんなことをワイルドは教えてくれました。
有無相生