老子小話 VOL 1241(2024.09.07配信)

無風月花柳、不成造化。
無情欲嗜好、不成心体。
(菜根譚)

 

風月花柳なければ、造化を成さず。

情欲嗜好なければ、心体を成さず。

 

今回の言葉は「菜根譚」よりお届けします。

自分と自分を取り囲む世界があって始めて、生が成り立つというお話です。

「風や月、花や柳のような風物がなければ自然は成り立たない。

同じように、感情・欲望や好き好みがなければ、心は成り立たない。」

自分を取り囲む自然には、時とともにいろいろな風物が立ち現れる。

風も月も花も柳も、一所にとどまっておらず、変化の美しさを見せる。

同じように欲情も好みも、時とともに自分の心に立ち現れる。

その心の変化も、その人の人間らしさだといいます。

自分を囲む世界に対する心の反応が、感情・欲望であり好みであるわけです。

このように世界と自分との相互作用で、生が成り立っている。

ここで大切なのは、世界に使役されないこと。

使役はちょっと堅苦しい言葉なので、言い換えると、世界に振り回されないことです。

菜根譚は、振り回されないためにはどうすればよいかは語りません。

自分の経験からすると、世界の刺激に反応している自分を外から見ている自分を持っていることでしょうか。

反応が手に負えなくなったら、世界から自分を一度切り離す必要が出てきます。

そういうときに、自分を外から見ている自分がいることが大事になります。

菜根譚の言葉は、そんな気づきを与えてくれます。

 

有無相生

 

 

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