老子小話 VOL 1236(2024.08.03配信)

知人者智、自知者明。
勝人者有力、自勝者強。
(老子、第三十三章)

 

人を知る者は智、自ら知る者は明なり。

人に勝つ者は力有り、自ら勝つ者は強し。

 

パリ五輪が始まり、メダルを取れた選手、取れなかった選手など悲喜こもごもです。

この時期思い出されるのが、老子の言葉です。

メダル獲得に向け、日々精進を重ねてきた結果が問われるのが本番の試合です。

今までの成果がどんなにすぐれていても、負けてしまう場合があります。

対戦相手は自分の弱点を分析しているので、本番では簡単に勝たせてもらえません。

おまけに五分五分のときに審判が公平な目で判定しない場合もある。

今回の五輪では、柔道やバスケでそのような場面を見ました。

結局は、苦しい局面でも絶対に勝ちにいこうとする自身の気力が問われることになる。

対戦相手の弱点を知ることは確かに必要な知識ですが、苦しい局面で自分の弱点を悟ることは勝つために必要な知識となる。

力の差がある相手と戦うときは、力があるものが勝つのは当然です。

しかし力が同等の場合、自身の揺れ動く心を鎮め、相手の戦法にはまってしまった自分を克服することが必要になる。

自分を知っている者が本当の勝者になる。

メダルを取れた選手も取れなかった選手も、老子のこの言葉をかみ締めて、次の五輪では勝利を手にしてもらいたいものです。

 

有無相生

 

 

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