◆老子小話 VOL
1235(2024.07.27配信)
撞鐘もひびくやうなり蝉の声
(芭蕉)
今回は、芭蕉の句をお届けします。
今朝は早朝散歩をして、この原稿を書いています。
散歩中の蝉の声が耳に染み付いています。
撞鐘はつきがねと読み、撞木でつく釣鐘です。
鐘をつくと、うなりを発生させ波打つように聞こえます。
蝉の声もうなりのように耳には聞こえます。
芭蕉の句は、いろんな解釈ができます。
まず鐘が実際につかれてうなりと共に消えていくかと思っていたら、蝉の声のうなりが跡を継いでいつまでも鐘のうなりが残るようだった。
そんなイメージです。
次の解釈は、釣鐘はそこにあるが、鐘はつかれなかった。しかし、蝉の声のうなりは、鐘があたかもつかれて、その余韻を残しているように聞こえた。
もう一つは、釣鐘はそこにはなく、蝉の声は、鐘が響いてうなりをあげているように聞こえた。
同じような解釈が、「古池や蛙飛び込む水の音」でもありました。
古池は実際あったのか、なかったのかという解釈です。
もっと言えば、水の音は聞こえたが、蛙だったのか。
17文字の世界では、いろんなイマジネーションがうなるように広がっていきます。
言葉を減らすことで関係性の世界はますます豊かになっていく。
タオの世界に通じるところがあるようです。
有無相生