老子小話 VOL 1225(2024.05.18配信)

以無為首、以生為背、以死為尻。
(荘子、大宗師篇第六) 

 

無を以って首(こうべ)と為し、

生を以って背と為し、

死を以って尻と為す。

 

今回の言葉は荘子よりお届けします。

タオの死生観をユーモア交えて語った言葉です。

首も背も尻も、ひとりの人間がその身にそなえるものです。

身体の上から下に向かって時間は流れます。

無の世界から人間は生まれ、有という生の世界を生き、最後は死という無の世界に帰っていく。

背中は一番長いので、生の時間が一番長いわけです。

生を保つには、首(頭)にある口から食物をとり、背中の内側にある消化器官で栄養を吸収して、尻からカスを排出する。

生きるためには、首も背も尻も一体となってその役割を果たさなければならない。

首を無、生を背、死を尻とたとえることで、無も生も死も、ひとが生きている限り、一体となってその役割を果たしていると語ります。

無から生まれたからこそ、生のありがたみを感じる。

無に帰っていくからこそ、生の時間を充実しようとする。

人生が長くなるほど、背中に負うものが増えてくる。

しかし背中に負うものに執着していると、充実した時間が過ごせなくなる。

負うものを無に近づけられれば、どんなに楽に人生を送られることか。

荘子の言葉は、生死と無が渾然一体となった死生観を教えます。

 

有無相生

 

 

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