老子小話 VOL 1224(2024.05.11配信)

いかなる政府が最上の政府であるか。
われわれ自身を治めることを教える政府がそれだ。
(ゲーテ) 

 

今回はゲーテの言葉をお届けします。

例によって、「ゲーテ格言集」(新潮文庫)で見つけました。

老子の教えともかぶるところがあるので、味わってみたいと思います。

どんな政府が最上の政府なのかを問います。

国民の幸福を実現する政府が最上のようのようです。

政党の名前にもなっているくらいですから。

現状を見ると、政権政党は政治資金を裏金化し、国民の幸福よりも自分の幸福を優先する始末です。

年金制度の破綻を避けるべく、受給開始年齢の引き上げや給付額の調整で対応しようとしています。

しかし、年金をもらえるまで雇用が確保されているわけでもなく、新たな働き口で収入を得ると給付額が削減されるという、国民の幸福とは程遠い状況にあります。物価高騰で苦しい生活がますます苦しくなる。

国民は最後の防衛策として、消費を抑えて自分の身は自分で守るようになる。

政府が無策であればあるほど、国民は自分自身を治めることを学ばざるを得ない。

従って、ゲーテの言葉は、今の日本政府こそが最上の政府だと言っているようです。

皮肉にも、国民が賢くないと、まともな政府は生まれない。

国民が選択した政府が堕落し、そのあおりを国民がこうむって、国民の自立性が高まる。

低賃金で苦しむ若者は、海外に出て働き、高賃金を得て将来の蓄えを行う。

老子も第57章で、次のように言う。

「我れ無為にして民自ら化す。(中略) 我れ無事にして民自ら富む。」

政府が無為の立場を貫くから国民が感化される。

政府が格別なことをしないから国民は自然に富む。

政府を頼らない国民が、幸福とは何かを自分で発見し、自分で探求していく。

それを教える政府こそが最上だと、老子も言っているようです。

 

有無相生

 

 

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