老子小話 VOL 1223(2024.05.04配信)

痩脛の毛に微風有更衣
(与謝蕪村) 

 

今回は蕪村の句をお届けします。

五月連休の後半ですが、いかがお過ごしでしょうか?

もう初夏の陽気で、衣替えの季節です。

更衣は、ころもがえです。

痩せ脛は、病後の痩せた脛(すね)、あるいは老身の脛を意味します。

何か今の自分に重ねてしまう句です。

その脛毛(すねげ)に初夏の微風がそよいで、生きている喜びを感じている。

触覚により周りの気の流れを感じ、その気を自身の中に取り込み、自身の気もまた活性化される。

衣替えの季節だからこそ、脛毛に初夏の風を感じる機会を得ています。

初夏といえば、青々とした新緑のまぶしさがまず目に留まります。

しかし蕪村は、触覚で生の喜びを表現する。

この有様もまたひとつの画になるようです。

幸運が重なり今の自分があることを、周りの自然が教えてくれる。

毛のゆらぎを通して、周りの気の流れと同調する自らの気を感じる。

これが生きていることなんだと実感します。

蕪村の句に感謝です。

 

有無相生

 

 

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