◆老子小話 VOL
1223(2024.05.04配信)
痩脛の毛に微風有更衣
(与謝蕪村)
今回は蕪村の句をお届けします。
五月連休の後半ですが、いかがお過ごしでしょうか?
もう初夏の陽気で、衣替えの季節です。
更衣は、ころもがえです。
痩せ脛は、病後の痩せた脛(すね)、あるいは老身の脛を意味します。
何か今の自分に重ねてしまう句です。
その脛毛(すねげ)に初夏の微風がそよいで、生きている喜びを感じている。
触覚により周りの気の流れを感じ、その気を自身の中に取り込み、自身の気もまた活性化される。
衣替えの季節だからこそ、脛毛に初夏の風を感じる機会を得ています。
初夏といえば、青々とした新緑のまぶしさがまず目に留まります。
しかし蕪村は、触覚で生の喜びを表現する。
この有様もまたひとつの画になるようです。
幸運が重なり今の自分があることを、周りの自然が教えてくれる。
毛のゆらぎを通して、周りの気の流れと同調する自らの気を感じる。
これが生きていることなんだと実感します。
蕪村の句に感謝です。
有無相生