◆老子小話 VOL
1220(2024.03.30配信)
目無所見。耳無所聞。心無所知。
女神将守形。形乃長生。
(荘子、在宥篇第十一)
目は見る所なく、耳は聞く所なく、心は知る所なければ、
なんじの神は将に形を守らんとし、
形はすなわち長生せん。
今回の言葉は、荘子よりお届けです。
かつて帝王だった黄帝が、天下を治めるよりわが身を修めることの重要さを悟り、広成市という仙人に長生きの秘訣を聞く。
広成子の回答の中心部です。
神とは精神の神で心です。
そして形とは身体のことです。
「目はみだらなるものを見ず、耳はみだらなるものを聞かず、心はみだらなるものを考えない。
そうすれば、やすらかな精神は身体をやすらかに保ち、身体は長寿を得る。」
英語で言う、a sound mind in a sound body(健全な精神は健全な肉体に宿る)の逆です。
健全な肉体は健全な精神に宿ると荘子は言っている。
まさに仏の教えに符合しています。
人間の脳は身体の働きを制御し、心を形づくる。
心を静かに穏やかに保つことで、身体の働きをうまく制御して、生命を長く保つことができる。
心を落ち着けるために、瞑想や座禅を行う。
目や耳から入る刺激で心が乱されると、身体の制御も乱され、胃が痛くなったり、眠れなくなったりで、身体に悪さをする。
長寿の方を見ていると、天真爛漫でくよくよ考えない。
そのときそのときを円満におさめていく。
実際に長寿になるかは神のみぞ知る。
しかし、長寿を阻害する要因だけは除いていくに越したことはありません。
有無相生