◆老子小話 VOL
1213(2024.02.10配信)
種をまくことは、取り入れほど困難ではない。
(ゲーテ、「親和力」)
今回の言葉は、ゲーテよりいただきました。
ゲーテの小説「親和力」に出てくる言葉だそうです。
種をまいても、それが実を結び収穫できるとは限らない。
まいた場所の土地が肥えていて、天候もそれなりに良好でないと、種は芽を出してくれない。
たとえ芽を出しても、うまく育ってくれない。
種をまいてから取り入れできるまでには、さまざまな幸運が重なることが必要になる。
従って、取り入れには困難が伴います。
しかし、種をまかないことには何事も始まらない。
自然界でも、野鳥が森を作っています。
植物の種を食べた鳥が飛び回って糞をし、その糞のなかの種が実って植物が森を作っていく。
これは、鳥があちらこちらで種まきをしていることになります。
人間社会でも、問題解決のために新しいことを始める人は沢山います。
しかし、いろんな人の協力とさまざまな幸運に恵まれて、初めて実を結びます。
取り入れまでに、多くの時間と労力が求められます。
これも、新しいことを始めない限り、現状は何も変わらない。
従ってゲーテの言葉は、種まきという第一歩を踏み出す勇気を与えてくれる言葉です。
とかく、取り入れまでの苦労を想像し一歩すら踏み出せない人間に対し、とりあえずやってみようよと語りかける。
自然界の鳥は、自分が種まきしているなんて気付いていない。
人間だけが、頭の中で取り越し苦労をする。
すべては始めてみなければ始まらない。
始めてみれば、自然と輪は広がっていく。
有無相生