老子小話 VOL 1212(2024.02.03配信)

天之道損有餘而補不足。
人之道則不然、損不足以奉有餘。
(老子、第七十七章) 

 

天の道は余り有るを損じて而して足らざるを補う。

人の道は則ち然らず、足らざるを損じて以って余り有るに奉ず。

 

今回の言葉は、老子よりいただきました。

自民党の裏金議員は一体何人いるのでしょうか?

時が経つにつれて数名から数十人、今や百人を超えようとしている。

自民党は、老子がいう「人の道」まっしぐらです。

まずは老子の言葉を味わいましょう。

「天の道は、余りある所を減らして足りない所を補う。

しかし人の道は、足りない所を更に減らして、余りある所にさし上げる。」

本来お金は、余っている所から苦しんでいる方々にすぐに支給されなくてはいけない。

今苦しんでいる方は、能登地震の被災者です。

政治家は非課税の自分のお金よりまず、支援に動かねばならない。

しかし、自民党議員は裏金作りに奔走し、自分のことしか頭に無い。

この不公平は政治にとどまらず、経済でも見られている。

賃金上昇を理由に、物価上昇が続いている。

しかし、賃金が上昇した人間が一体何割いるかわからない。

年金暮らしの方はもとより零細企業で働く方は、収入は増えずに物価上昇に苦しんでいる。

お金に苦しむ人間は更に増え、余りある人間は更に富む。

都心のタワマンの価格は億を超えるという。

一体どんな人間が買えるのか不思議に思う。

2000年以上前の老子が人間社会の不公平を嘆いていても、状況は未だに変わらない。

社会を変える役割の政治家の頭も進歩していないことになる。

老子は、天の道は弓に弦を張るようだという。

高いところは下に引っ張られ、低いところは上に引き上げられる。

自然界では上にいるものも下にいるものも、持ちつ持たれつで、互いに恩恵を及ぼしながら生きている。

ライオンが獲物を捕らえても、独り占めしない。

残った肉は、はげたかやハイエナが食べ、さらに下等動物が骨を残すまできれいにする。

ライオンが死ねば、自分の肉を他の生き物に捧げることになる。

人間社会だけが、富が不足するところから有り余るところに流れていく。

つまり富の一極集中で、アメリカを見ればよくわかる。

人間社会を取りまとめる政治家が、裏金作りに精を出していては始まらない。

東京佐川急便の5億やみ献金事件で生まれた政治刷新の機運は、長期政権のもと、とうに忘れ去られていた。

そんな自戒の言葉を吐く某自民党議員は半ば開き直っていた。

赤信号みんなで渡れば怖くない。

日本独特のカルチャーで済ますのが悲しい限りです。

 

有無相生

 

 

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