老子小話 VOL 1210(2024.01.20配信)

面白し雪にやならん冬の雨
(芭蕉) 

 

今回の言葉は、芭蕉の句をいただきました。

まさにに今日の天気を詠っているかのようです。

朝から曇り空で、雨が降り出し今にも雪に変わるような天気です。

面白しで始まるところが面白いところでしょうか。

天気の変化を楽しむ心を面白しで表現しています。

面はあたり一面で、面白しであたり一面真っ白となり、雪にかけています。

誰でも思いつくような句ですが、今の天気とあわせると味わい深くなります。

先週は、水は無形で低きに流れるという言葉を取り上げました。

今回の句もまた水がらみで、雨という液体が気温次第で雪という固体に変わっていく模様を表現します。

透明な水が、白という雪に変わっていく。

冬の自然の景色は、水の変化により彩られていく。

ウクライナでの戦争は、水の変化で戦況が変化していく。

雨が続くと地面はぬかるみ戦闘は停滞するが、冬になると水は凍結し地面は固まり戦闘は激化する。

芭蕉のように自然の変化を楽しめるというのは平和の証です。

戦場ではそれを楽しむ心の余裕はありません。

何のためにひとは戦うのか?

もちろん自由と平和のためと答えるでしょうが、敵対する国同士の自由と平和が互いに異なっているために戦争を選択するように見えます。

自然の景色を楽しめる自由と平和を共有できれば、自然を破壊してまで戦争を選択することはありません。

自然の破壊は、地球環境の破壊につながり、最終的には生命の危機を招きます。

芭蕉の句は、自然の変化を楽しむ心の豊かさを感じさせます。

 

有無相生

 

 

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