老子小話 VOL 1208(2024.01.06配信)

Inside every small problem is a large problem struggling to get out.
Murphys Law) 
 
どんな小さな問題の中にも、外に出ようともがく大きな問題がある。

 

新年早々、能登地震と羽田での旅客機と海保機の衝突事故が起きてしまいました。

能登地震では多くの犠牲者が出てしまったことは非常に残念なことです。

慎んで哀悼のまことを捧げます。

他方羽田では、乗務員の的確な判断で多くの乗客が無事に避難できたことは非常にうれしいことです。

今回は、衝突事故がなぜ起こったのかにつながる言葉をお届けします。

マーフィの法則の本に載っていたので、マーフィの法則と書きましたが、古いことわざでもあるようです。

旅客機が着陸する滑走路上に、海保機が止まっていたのでぶつかるのは当たり前です。

昼間なら海保機の存在を視認できるので事故は防げたでしょうが、夜でした。

各機の機長は管制官から指示を受けて始めて、滑走路に進入できます。

国交省は交信記録から、旅客機の機長には進入許可を与えたが、海保機には与えていなかったと発表しました。

海保機と管制官との交信で、No1(一番目)という言葉が出てきて、海保機の機長は優先許可が出たものと解釈し、滑走路へ進入したようです。

No1(一番目)が交信上通常どのような使われ方をするのか、素人の私にはわかりません。

しかし、海保機機長の「一番目。ありがとう。」の言葉の後、海保機は旅客機が突っ込んでくる滑走路に進入しています。

それでは、異常事態が発生したことを管制官は察知できなかったのかという問題になります。

Yahooニュースによると、管制塔の画面では進入を検知すると、滑走路が黄色に点滅し航空機が赤色に表示されるそうです。

従って、この異常事態を管制官が見落としたか、画面がそのような動作をしなかったかになります。

まだ原因究明は継続中ですが、大事故は幾つかの原因が重なって起きることがわかります。

海保機機長が旅客機の軌道が見えていたならこんな事故は起こらなかったと思いますが、あくまでも機長は管制官の指示に従います。

国交省の結論は、管制官は海保機には進入許可を与えていなかったというものです。

残るは海保機機長が管制官の言葉を誤認したことしか考えられません。

管制官の言葉は、航空機の安全を保証するものです。

誤認を招く言葉は使わないようにするのは当然ですが、No1(一番目)がそれにあたらないことは国交省の結論からわかります。

更に、滑走路上に飛び出した海保機の存在を管制官が察知できれば、旅客機の機長に異常事態を伝え、事故は防げたかも知れません。

これらの原因は、事故が起きるまで小さな問題として看過されてきたようです。

今回の言葉は、ヒヤリハットと呼ばれているもので、大事故の要因になるべきものが、運よく大事故にならずに見過ごされてきた結果、小さな問題のままで済んだに過ぎないことを語ります。

一方、火を噴いた旅客機の乗客の避難では、乗務員の日ごろの避難訓練が実を結んだと言えるでしょう。

小さな問題を見過ごさずに、確実に動けるよう訓練を続ける。

地震や津波でも、同様なことが言えると思います。

今回の言葉と裏返しの言葉も、マーフィの法則の本に載っていました。

Inside every large problem is a small problem struggling to get out.

(どんな大きな問題の中にも、外に出ようともがく小さな問題がある。)

韓非子の「蟻の穴から堤も崩れる」という言葉につながります。

洋の東西を問わず、昔から言い伝えられる言葉には真理があります。

 

有無相生

 

 

 

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