◆老子小話 VOL
1204(2023.12.09配信)
人肯當下休、便當下了。
(菜根譚)
人肯(あえ)て当下に休せば、便ち当下に了せん。
年の瀬になり、今年を反省し来年こそは悪い習慣をやめようと考えている方もいると思います。
今回の言葉は、そういう方に捧げるため、菜根譚より選びました。
「ひとは何事につけ思い切って即座にやめれば、
それで即座にけりがつくものである。」
この言葉の後に、なぜやめられないかの理由も書かれています。
やめるタイミングを探しているからだといいます。
ダイエットを始める場合、夏が近づいたらとか、何キロ以上になったらとか理由を探して、食べすぎをやめようとする。
作家の町田康さんが断酒したときも、一気にやめたとYoutubeで語っておられました。
断酒の前はかなり飲まれたそうですが、年末に断酒を決断し、正月も一切飲まなかったら、そのまま続けることができたそうです。
正月は酒飲みにとって飲む機会が増えます。
それを我慢し乗り越えると、案外すんなりと行けるのかもしれません。
前回「酒を勧む」の漢詩をお届けしたのに、断酒を例に挙げるのは心苦しいのですが。
いつやめるのと聞かれたら、今でしょというのが正解のようです。
私みたいに高齢者になると、時間はそう残されていません。
興味を持っていることがあればとりあえずやってみる。
やめたい習慣があれば、一気にやめてみる。
始めるときもやめるときも、タイミングを計っているといつまでも実行できない。
自民党安部派のキックバック問題も、表ざたになる前にやめるタイミングを計っていたのかもしれません。
しかし、もらった金を収支報告書に記載しなければ法令違反になるので、やめても過去の汚点は消えません。
つい出来心で違法な金にかかわってしまう自民党派閥の体質がここでも垣間見てしまう。
菜根譚の言葉は、身近な教訓として心に残ります。
有無相生