老子小話 VOL 1186 (2023.08.05配信)

Peace cannot be kept by force; it can only be achieved by understanding.
(Albert Einstein) 

 

明日は広島市への原爆投下の日です。

1945年8月6日に市の中心に投下され、市の人口のほぼ半分が数ヶ月の内に亡くなりました。

この被爆体験は、人類存亡への警鐘として語り継いでいかなければなりません。

原爆開発のきっかけを与えたのは、E=mc2という法則を見つけたアインシュタインです。

質量mが莫大なエネルギーを生み出し得るという法則で、核分裂から破壊エネルギーを得たのが原爆です。

そのアインシュタインが平和について語ったのが、今回お届けする言葉です。

「平和は力によっては維持できない。ただ理解し合うことによってのみ、達成できる。」

force(力)は、核兵器と置き換えることができる。

科学は決して人類を不幸にするために生まれたものではありません。

科学は自然の神秘を解き明かすために生まれました。

どのように使うかは、人間の知恵に任されます。

自らの知恵によって、自らを滅ぼす可能性もあることを最初に教えてくれたのは神様です。

そして実際に学んだのは核兵器の脅威からでした。

核兵器ばかりではありません。

遺伝子操作で人間を作り変え、人工知能でコンピュータという機械に知恵を与えました。

そしていまだに力によって、平和を維持しようとする国が世界にはちらほら見受けられます。

自国民が生存すればいいと考え、平和の意味を取り違えている人々が国を支配しているからでしょう。

アインシュタインのいうunderstanding(理解)には、さまざまに異なった考えをもった人間同士が互いの立場を理解し、人類存続のため最低限何をすべきかを理解することが前提としてあります。

そこからは相手を力によって制圧する考えは生まれるはずはありません。

先日NHKで、「ヒトラーvsスターリン独裁者の対決」という番組を見ました。

ヒトラーもスターリンも力によっておぞましい数の人々を虐殺しました。

恐ろしく感じたのは、独裁制が走り出すと誰も止められなくなるということです。

独裁者は、憲法や法律までも自在に変更し、反逆者に倒されるまで独裁政治を続けます。

アインシュタインの言葉が意味を持つのは、国民が政治に目を光らせ独裁者を出さない状況においてに限ります。

核兵器廃絶のためには、被爆体験の継承とともに、広島・長崎への原爆投下の決定がどのようなプロセスで行われたのか検証する必要もあります。

このプロセスに目を瞑っていては、同じことが今後別の場所でまた起こりえると考えられるからです。

アインシュタインのいうunderstandingには、深い意味を感じてしまいます。

 

有無相生

 

 

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