◆老子小話 VOL
1179 (2023.06.17配信)
糞蟲至穢、変為蝉而飲露於秋風。
腐草無光、化為蛍而燿釆於夏月。
固知潔常自汚出、明毎従晦生也。
(菜根譚)
糞虫は至穢なるも、変じて蟬となりて露を秋風に飲む。
腐草は光なきも、化して螢となりて化して釆(さい)を夏月に耀(かがや)かす。
固(まこと)に知る、潔は常に汚より出で、明は毎(つね)に晦より生ずるを。
今回の言葉は「菜根譚」よりいただきました。
ちょっと長いですがご勘弁を。
糞虫はうじ虫のこと。釆は彩と同じで、美しい光彩のこと。
晦は、暗闇のこと。
「うじ虫は汚いが、後に変じて蝉になり白露を飲みつつ秋風によい声で鳴く。
枯れた草は光を放たないが、変じて蛍になり夏の夜に美しい光彩を放つ。
これによって、潔いものは常に汚いものから生まれ、光輝くものは常に暗闇の中から生まれる。」
「水清ければ魚棲まず」と言いますが、混じりけがないと、何も生まれないのは確かです。
日本の社会を見ると、これまで、移民を受け付けず水を清く保とうとしてきた。
その結果、価値が偏って、国際社会に一歩遅れることになった。
デジタル化に遅れ、マイナンバーカードでもいろいろな不手際を起こしている。
地元茅ケ崎市のコロナワクチンの予約サイトも、WEBで予約はできるが、キャンセルするときは、WEBではできず電話をしなければならない。
いまどき、通販サイトでも、ホテルの予約サイトでも、予約のキャンセルはWEBで行なうのが当たり前なのに。
つい最近では、サブスクの解約も電話で行ない、なかなかつがらないという記事が新聞に出ていた。
日本での取引のデジタル化は、お粗末の限りである。
日本の社会にいろんな民族が混じれば、もっといろんな産業が創成されるのにと思う。
最近ハラルフードが少しずつ浸透してきたが、もっと一般化すれば、世界人口の25%を占めるイスラム教徒にも日本食が浸透することが期待される。
ルビーもサファイアも、酸化アルミに不純物が混じることで、美しい色彩を見せるようになる。
正反対の性質が同じものの中に含まれるわけで、それが時間を追って代わる代わる現われていく。
ある時点ですばらしく見えていたとしても、色あせていく。
反対にある時点で醜く見えていたものが、見違えるようになる。
ものの一面だけを見て判断しないことです。
菜根譚の言葉には、タオの香りが漂います。
有無相生