老子小話 VOL 1174 (2023.05.13配信)

奢則不孫、倹則固。
与其不孫也寧固。
(論語、述而第七)

 

奢れば則ち不遜、倹なれば則ち固し(いやし)。

その不遜ならんよりは寧ろ固しかれ。

 

近頃週末は肌寒い雨の日が多いように思われます。

値上げラッシュが続きますが、今朝の新聞に、75歳以上の公的医療保険料の値上げが決まったとありました。

実質的には毎年年金額が減額されるのと同じで、物価高騰とのダブルパンチになります。

対処方法は、財布のひもを締めるしかありません。

そんな状況のなか、今回の言葉は、論語からいただくことにしました。

「ぜいたくをしていると尊大になり、倹約していると頑固になる。尊大より頑固のほうがよい。」

貧富の差は、高齢者においても広がっているように思います。

一方で、年金以外の資産を元手に高級老人ホームに入り、生活の苦労なく余生を謳歌されている人がいる。

他方で、毎年目減りする年金とわずかな預金を元手に、倹約を重ね、一日一日を生きつないでいく人がいる。

高齢になるほど、貧富の差は拡大していくという報告もある。

これが資本主義社会の宿命と言ってしまうと、心が冷え切ってしまいます。

孔子は、ぜいたくをするより倹約を勧めます。

ぜいたくをしている富める者は、倹約を重ねる貧しき者のことを忘れます。

そのことがその人を尊大にする。

自分の実力で富を得たのだから、実力がなく富を得ない人のことを考える必要はない。

企業も富める者を大事にする。

高い商品やサービスを買ってくれるのは富める者だからです。

他方、日々倹約に追われる者は、どうしても頑固になる。

どちらの店が安いか、どの企業の商品やサービスが安いかに気を配り、妥協しなくなる。

しかし、頑固にはなっても尊大にはならない。

孔子は、身の程をわきまえた生活をするのが一番だと考える。

富める者は、その富は他者の力に基づいて得たものと心得、社会に還元していく生きかたをする。

貧しき者は、頑固なほど倹約をし、手持ちの糧のなかで命をつないでいく。

貧富に関わらず身の程を忘れた者が尊大になり、他者は離れていく。

孔子の人生は、その言葉を生みました。

 

有無相生

 

 

戻る