老子小話 VOL 1172 (2023.04.29配信)

労神明為一、而不知其同也。

謂之朝三。
(荘子、斉物論篇第二)

 

神明を労して一を為しながら、其の同じきことを知らず。

之れを朝三と謂う。

 

今回の言葉は、荘子からお届けします。

朝三暮四のもとになった言葉です。

「あれこれ精神を疲れさせ同じことを繰り返しながら、それが同じことに気づかないでいる。

これを朝三という。」

猿使いの親方が猿にとちの実をやろうとして、「朝三つ、夕方四つあげよう」と言ったら、猿は怒り出した。

そこで、「では、朝四つ、夕方三つあげよう」と言ったら、猿は喜んだ。

同じ事が、政府と国民の間で通用している。

コロナ対策や少子化対策で国民にお金をばら撒いて、国民を喜ばした。(全員ではないにしても)

そのお金の原資は、社会保険料の値上げや消費税の引き上げで確保しようと政府は考えている。

国民が今ある幸福に目を奪われている限り、政府は猿使い同様、そちらを優先させます。

つけを将来に残すことで、将来の幸福が減っても致し方ないとする。

国民を猿にたとえるのは心苦しいですが、消費税引き上げで政府が使う方便は、猿同様の扱いです。

選挙で自分たちを選ぶのは今の国民なので、どうしたってそちらの意見を尊重する。

日銀の異次元の金融緩和で膨らんだ赤字国債も、そのつけを払わされるのは将来の国民です。

金利が低ければ、借金(つけ)が多くても今の幸福を優先しがちになり、将来の負債は子供に託される。

物価が軒並み上昇する気配ですが、その中で朝四暮三ではなく、朝三暮四の将来優先の政策が取れるよう、国民は政府に目を見張っていかねばならないと思います。

 

有無相生

 

 

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