老子小話 VOL 1170 (2023.04.15配信)

Time and the hour runs through the roughest day.

(Shakespeare, “Macbeth”)

 

どんな荒れ狂う嵐の日にも時間はたつのだ。

 

今回の言葉は、英国の文豪シェイクスピアの悲劇「マクベス」からいただきました。

苦しいことはいつまでも続かない。

新型コロナ感染も一体いつまで続くのかと不安な日々を送りました。

しかし、ワクチンが開発され接種が始まると、次第に感染者数も低下していき、今では風邪並みの扱いになっています。

3年の日々が長いか短いかは人それぞれですが、いずれにしてもどんな困難もいずれ終息します。

嵐という自然現象にたとえると、言葉に説得力が出てきます。

今までに何回も体験した嵐の意味を思い返すことができるからです。

猛威をふるった嵐のあとの晴れ上がった青空を思うと、あの猛威も一瞬のことだったと気づかされる。

老子第二十三章にも、つむじ風は半日と続かないという言葉が出てきます。

意味はシェイクスピアの言葉と同じです。

シェイクスピアの表現は、詩的な表現になっていると思われます。

時間の流れに沿って流れていく私たちにとって、どんな辛い日々も走り過ぎていくものだ、と表現します。

そこまで自分を客体化できれば、どんなことが起こっても怖くない。

悠久の自然の中に身を置くとき、そういう客体化が可能になるような気がします。

シェイクスピアの言葉は、老子へとつながり、困難を乗り越える勇気を授けてくれました。

 

有無相生

 

 

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