老子小話 VOL 1152 (2022.12.10配信)

遇不遇者、時也。

死生者、命也。

今有其人、不遇其時、

雖賢、其能行乎。

(荀子、宥坐篇 第二十八)

 

遇と不遇とは、時なり。

死生とは、天命なり。

今その人有るとも、 その時に遇わざれば

賢なりと雖も、 それ能く行われんや。

 

W杯決勝トーナメント初戦で、残念ながら日本はクロアチアに敗れました。

でも最後まで伯仲したゲームで、にわかサッカーファンとしては十分楽しめました。

その後クロアチアはPK戦でブラジルにも勝ち4強となり、レベルの高さを見せています。

ゴールキーパーの読みの鋭さは光っています。

今回の言葉は、荀子からいただきました。

「遇と不遇は時なり」のもとになったものです。

「事が順調に進むか、あるいは何をやってもダメかは、時世による。

死か生かは運命による。今しかるべき人物がいても、しかるべき時世にめぐりあわないと、賢人といえどもうまく事は運ばない。」

時世とは時の運であり、うまく行かなくても、時の運にめぐりあうまで鍛錬を積んで準備すべきと説いています。

今回の敗戦のコメントにもあるように、4年後W杯に向けて、足らなかったものを獲得することに尽きます。

上の言葉は孔子が語った言葉で、孔子の人生も不遇の連続でしたが、めげず立派な思想を残しているので、説得力があります。

「死生は命なり」という言葉が続くので、時の運にめぐりあうのが死後になる可能性もあります。

しかしそれでもなお、時を待つことに意味がある。

「ドーハの悲劇」から「ドーハの歓喜」に至る長い道のりは、じっくり時を待つ意義を教えてくれたと思います。

強豪ドイツ・スペインの両国に勝利すると当時の誰が予想したでしょうか。

今回の言葉のあとに、孔子は、「身を修め、行をただして、以ってその時を待つなり」としめます。

しぶとい人間とはそういう姿勢をくずさない人間なのでしょう。

ネクストW杯が楽しみです。

 

有無相生

 

 

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